本項では，かつて北陸本線 坂田－田村間に設置されていた交直セクションについて説明しています．
北陸本線は，現在は東海道本線と接続する米原から敦賀までの45.9kmの路線ですが，かつては信越本線との接続駅である直江津駅に至る日本海縦貫線の一部をなす路線でした．北陸新幹線の延伸に伴い，直江津－金沢間が2015年3月，金沢－敦賀間が2024年3月に沿線各県が運営する第三セクターの路線（えちごトキめき鉄道・あいの風とやま鉄道・IRいしかわ鉄道・ハピラインふくい）に転換されました．
1957年10月に田村－敦賀間が交流20kV60Hz電化されたのを皮切りに，最終的に交流電化区間は糸魚川まで拡大しました（終点側の梶屋敷－直江津間は1969年に直流電化）．米原－坂田間は当初非電化のままとされ，蒸気機関車E10などによる間接接続が行われていましたが，車上での交直切換の技術が実用化されたことから，1962年12月に米原－田村間が直流電化され，坂田－田村間に交直セクションが設置されました．
長らく交流電化だった北陸本線の米原側ですが，京阪神方面からの新快速電車（221・223系直流電車）乗り入れのため，1991年9月に田村－長浜間が直流化され，坂田－田村間の交直セクションは長浜－虎姫間に移設されました．
さらにその後，新快速電車の乗り入れ区間を敦賀まで再延長するための直流化工事が行われ，2006年9月24日に長浜－虎姫間の交直セクションは敦賀－南今庄間（下り線は北陸トンネル敦賀方出口付近，上り線はそれより約500m敦賀駅寄り）に再移設されました．
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1) 現在（2006年5月）の坂田－田村間交直セクション跡．左にあるお椀を伏せたような形の建物は長浜ドームです．
2) 交直セクションの無電区間は，下り線（向かって左側）は架線柱の間隔が狭くなっている辺り，上り線側もほぼ同じ位置（向かい側の架線柱も間隔が狭くなっています）にありました．また，下り線側の一番手前とその向かいの上り線の架線柱が外側に異常に傾いていますが，これも当時のままのようです．
3) 交直セクション跡を田村・長浜方から見たところ．
4) 交直セクション跡から少し田村寄りに進んだところ．このあたりにき電設備があったようで，現在も架線にエアセクションによるき電区分装置が設置されています．
5) き電区分装置を拡大して見たところ．前後の直流き電線が断路器（投入状態）を通して接続されています.
6) 交直セクション跡を通過する683系特急「しらさぎ」．
7) 交直セクション跡を通過するEF81牽引コンテナ貨物列車．
8) 交直セクション跡付近を走行中の223系長浜行き新快速電車．
9) 交直セクション跡付近を走行中の223系京都・大阪方面行き新快速電車．