| 隣接セクション | ||||
|---|---|---|---|---|
| (博多方) 新赤穂き電区分所 |  | 新姫路変電所 |  | (新大阪方) 新加古川 補助き電線開閉所 |
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| (博多方) 新赤穂き電区分所 | | 新姫路変電所 | | (新大阪方) 新加古川 補助き電線開閉所 |
山陽新幹線 新大阪－岡山間は1972年3月に開業しましたが，当該区間に設置された3ヶ所の変電所，新六甲変電所，新姫路変電所，新上道変電所のうち新姫路変電所と新上道変電所(の新大阪方)は受け持っているき電区間が比較的長いため，電圧降下の影響を抑える目的で通常のATき電方式で設置されるトロリー線とATき電線の他に「補助き電線」とよばれる設備が設置されました．また，補助き電線の末端には「補助き電線開閉所(SFSP: Sub Feeder Switching Post)」と呼ばれる設備が設置され，新上道変電所の新大阪方には新香登SFSP，新姫路変電所の岡山方には新竜野SFSP，同じく新大阪方には新加古川SFSPが設置されました．
(詳しくは山陽新幹線の補助き電線をご覧ください)
新姫路変電所は姫路駅から博多方へ約4kmの位置にあり，関西電力から275kV送電線で受電した電力を2組の単相交流に変換し，新六甲変電所とのき電境界である新伊川き電区分所から新上道変電所とのき電境界である新赤穂き電区分所までの区間へ供給しています．変電所からは新大阪方・博多方それぞれに上下線のトロリー線とATき電線，それに異相区分切替セクションの中セクションへのトロリー線へのき電線が引き出されていますが，それとは別に岡山開業当時は新大阪方・博多方それぞれの上下線に補助き電線(電車線側・SFT)と補助き電線(き電線側・SFF)の2本×4組が出力されていました．現在は変電所から博多方への補助き電線の出力は撤去されたものの，補助き電線そのものは通常のトロリー線，ATき電線と並列に接続された形で残っており，新竜野SFSPから変更された新竜野補助き電区分所まで延びています．一方，変電所からの新大阪方への補助き電線の出力はそのまま残されており，変電所のすぐ東にある山を鉄塔で越えた先で新幹線の高架橋に設置された鉄構に接続されて新加古川SFSPまで延びています．
新姫路変電所付近のき電系統略図
1) 新姫路変電所の正門．
2) 新姫路変電所の銘板．少しくたびれた感じがします．
3) 近隣にある関西電力の変電所から新姫路変電所へ電力を供給する275kV2回線の送電線．山陽新幹線の変電所は基本的に275kVまたは220kVの超高圧で受電しています．
4) き電用変圧器．275kVの三相交流を90°位相がズレた2組の60kVの単相交流に変換しています．2回線受電の送電線それぞれに接続された2台の変圧器(左側：1L，右側：2L)が設置されていますが，航空写真で確認する限りでは2L側の変圧器のB座出力に接続されていたと思われる昇圧変圧器が撤去されているように見えることから，1L側は従来通りの変形ウッドブリッジ結線変圧器のままであるのに対し，2L側はルーフデルタ結線変圧器に交換されているようです．
5) き電用変圧器の出力部の表示(1L側)．A座・B座それぞれからT(トロリー線)，F(ATき電線)へ出力されます．
6) き電用変圧器の出力部の表示(2L側)．奥側の1次側(275kV)と手前の2次側(線間電圧60kV)で碍子の連結個数が違うのがわかります．2次側の対地電圧は互いに逆位相の30kVですが，碍子の連結個数が7個と多いのは，おそらく負荷側の単巻変圧器(AT)を切り放した場合に中間タップの接地点も切り離されてしまい，結果として非接地の状態になって対地電圧が最高で60kVまで上昇する可能性に備えたものと思われます．
7) 変電所内の様子．変電所の敷地は周囲より一段高くなっている上に高い塀にも囲まれていて中の様子はあまりよく見えませんが，2次側の母線や機器の一部などが見えます．左のSFF・SFTはそれぞれ補助き電線(き電線側)・補助き電線(トロリー線側)を示しますが，下にはなにも繋がっておらず，博多方への補助き電線の撤去跡だと思われます．
8) 変電所内，2次側の設備の様子．中央に見えるのは異相区分切替セクションの中セクションの電源を切り替えるための切替用開閉器を収めた建屋です．
9) 変電所からのき電線の出力(下り線側)．右からレールへ接続される中性線(N)，東京方のトロリー線(T)，東京方のATき電線(F)，中セクションのトロリー線(SN)，博多方のトロリー線(T)，博多方へのATき電線(F)の順に並んでいます．通常の変電所やき電区分所と同様な構成です．左側の空いたスペースに博多方への補助き電線(SFF，SFT）があったものと思われます．
10) 変電所からのき電線の出力(上り線側)．下り線側と同様の構成です．
12) 変電所からの引き出し線を受ける鉄構を線路を挟んだ反対，南側から見たところ．
13) 鉄構から博多方に向かうき電線群(1)．左から上り博多方の補助き電線(き電線側:SFF)，上り博多方のトロリー線，上り博多方の補助き電線(電車線側:SFT)，上り博多方のATき電線の順に並んでいます．
14) 鉄構から博多方に向かうき電線群(2)．左から下段に下り博多方の補助き電線(電車線側:SFT)，下り博多方のATき電線(F)，下り線中セクションへのトロリー線(SN・表示なし)，上段に下り博多方へのトロリー線と下り博多方の補助き電線(き電線側:SFF)の順に並んでいます．博多方への補助き電線は変電所からの引き出し部までは撤去されていますが，鉄構の内部でトロリー線・ATき電線に接続され，新竜野補助き電区分所(SPP)までこれらと並列に接続された形で残っています．
15) 鉄構内部に張られた下り線への補助き電線．変電所からの出力に繋がっていたジャンパー線が外された跡があります．
16) 下り線異相区分切替セクションの中セクションを構成するエアセクション(入口側)．
17) 下り線中セクションのトロリー線へのき電線接続部．
18) 残り4本となった下り線のき電線・補助き電線群．
19) 下り線異相区分切替セクションの中セクションを構成するエアセクション(出口側)．
20) 下り線中セクション出口のエアセクションの中セクション側．
21) 下り博多方トロリー線へのき電線接続部．
22) 下り線中セクション出口のエアセクションの博多方．
23) 上り線異相区分切替セクションの中セクションを構成するエアセクション(入口側)．
24) 上り線中セクション入口のエアセクションの中セクション側．
25) 上り線博多方トロリー線へのき電線接続部．
26) 夢前川を渡る山陽新幹線．補助き電線がある区間の特徴である6本のき電線に上下線それぞれの博多方トロリー線へのき電線を加えた8本ものき電線がビームに支持されています．
27) 上り線異相区分切替セクションの中セクションを構成するエアセクション(出口側)．変電所の真ん前にあります．
28) 上り線中セクション出口のエアセクションの中セクション側．上り線中セクションのトロリー線へき電線が接続されています．
29) 新大阪方への補助き電線は変電所のすぐ東がトンネルのため，それを避けるために鉄塔に支持された架空線で出力されています．
30) トンネル上部の山を越える補助き電線の鉄塔．よくある三相交流2回線の鉄塔とは違い，電線が上部の架空地線を除くと4本しかないため異質な感じを受けます．
31) 山を越え平野に降りて来た補助き電線の鉄塔．
32) 補助き電線はトンネルを出て来た所に設置された鉄構で高架橋に合流します．
33) 補助き電線の鉄塔と高架橋上の鉄構を少し違う角度から見たところ．
35) 鉄構に取り付けられた補助き電線の表示．
36) 補助き電線が合流する鉄構を下から見上げたところ．鉄塔からの補助き電線の接続状況が分かります．
37) 補助き電線が合流する鉄構にはAT保護線に接続された避雷器のような機器が取り付けられています．
39) 架空線の鉄塔に補助き電線を渡していたと思われる部分．ジャンパー線が撤去された跡があります．
40) 補助き電線が合流し，通常のトロリー線+ATき電線と同じ構成になった後，トンネルに入っていきます．
41) 補助き電線の分岐跡の鉄構を通過するN700系8両編成の山陽・九州新幹線列車．